舞鶴鎮守府別館からの雑感

鎮守府別館から個人的な雑感を述べます。

自衛官と大学の関係について雑感

さて、前回の記事で学問の自由と軍事研究について語りました。

aozoramakoto.hatenablog.com

 

次は自衛官の大学への入学拒否について書いていきたいと思います。さて、正直この話は私もあまり触れたくはありません。というのも、見るだけでも反吐が出そうな酷い内容と向き合わなくてはならないからです。ですが事実を隠しても被害が増えるだけなので、むしろ積極的に出していく方向で行きたいと思います。

事の発端

実は前回の記事なのですが、本当は自衛官の大学への入学拒否をメインに雑感を書くつもりでいました。しかし、学問の自由と軍事研究もかなり重要なテーマであったため、こちらの分量が大きくなってしまい、分けることにしました。前回に引き続き以下の論文を軸に話しを進めていきます。

ci.nii.ac.jp

また、必要に応じて軍学共同反対連絡会のTwitterアカウントの該当ツイートのURLを貼って引用します。というのも、該当ツイートを流れで見なければ話しが伝わらないからです。

排除されるけれども差別ではない!?

さて、今回私がこの様に長い文章を書くきっかけとなったツイートをまず引用します。

えっと、どこから突っ込んでいいかわからないのですが重要な事をいくつか。

まず一つ目は自衛官のみを限定して排除されている現実がある以上差別です。典型的な差別です。

そして二点目は「軍事研究を排除するための大学の措置」とありますが大学であろうが国であろうが特定の集団であろうが特定の職業や人種に向けて差別することは許されることではありません。完全な人権侵害です。この一文を読んだとき、アメリカで黒人が差別されていた時代、南アフリカアパルトヘイトを彷彿とさせました。

そして三つ目は「人権侵害」と非難する向きがあるようですが、そのとらえ方は一面的です」とありますが、それ以外どうやって受け止めろというのでしょうか?

いわばこの理論は「自分の差別はきれいな差別」の典型的な事例です。最初に示した論文には

「なお,当該志願者の修学ないし研修派遣の目的および研究内容を勘案した結果,その者の 入学が学問の自由を損なうおそれがあり,あるいは軍事研究を一切行なわないという本学の基本姿勢に反するおそれがあると認あ られる場合には,これを排除する.ただし,この措置は,特定の職業・身分にあるもの者を,その理由により排除しようとするものではない.」

 この文中,「その者の入学が学問の自由を損うおそれがあり」という一文は,公安関係者の入学の可能性を念頭においたものである.

とあります。軍事研究の是非で言えば私は前回示した通り自由に行うべきだと考えるので、深くは語りません。学問の自由が侵される云々は公安を対象にしたものであって自衛官を対象にしたものではなさそうです。では何故自衛官が排除の対象になるのか。もっと読み進めてみるとこのような文章がある。

さて,軍事研究か否かは一っの研究を取出してみれば判定し難いことも多い .研究テ ーマ総体としても,軍事利用を直接の目的とすることは,基礎研究では稀であろう,とは云え,軍の研究機関の方からすれば,管轄下の研究を将来の実用化のためのシーズと位置づけていることもまた明白である.そういう研究の性格や状況を考えると,軍機関と関わっての活動であるか否か,は一つの実体的判断規準として有効であると思う,

 

つまり、研究では判断できないから自衛官を排除してしまおうというのが筆者の意見であり、それが大学内で普通に受け入れられてしまっているのでしょう。

この方法論にどれだけの正当性があるのだろうか。自衛官だからといって軍事研究ばかりではなく、外交や国際関係、経営学などを学ぶ人だっているでしょう。そのようなことを考えればこの方法はかなり拙速と言わざるを得ません。そもそも特定の研究を排除すること自体私は問題だ思いますがね。

というかこのツイート見た時本気で脱力しました。

 結局行きつく結論は同じ

結局のところどんな理屈を付けようとも、差別であることは間違いありません。差別を差別でないと屁理屈をこねても差別であることには変わりはないのです。何かを判断基準にすれば差別が差別でなくなるなんてことは差別主義者の理屈と完全に同じです。(しかもこの場合は職業による基準のため職業差別)軍事研究に反対する人達の差別に対するスタンスは存じませんが少なくともリベラルと称する方々がかなり入っているのではないのでしょうか?そしてそのリベラルな方々はいつも「反差別」を掲げておられるのではないのでしょうか?(間違っていたらごめんなさい)そう言う人達が平気で自衛官差別を行っていると考えるのは私の見当違いなのでしょうか?

自衛官の差別をなくすために動くべきは誰?

ここからは話がそれます。というか自衛官の差別について語った以上どうしても言及すべきことがあります。

togetter.com

これは自衛官及びその家族に対して行われた差別的行為やいじめなどをまとめたものです。よく「いじめた側は覚えていない」といいますが、今日に至るまでこのような行為を行った勢力や団体、個人で謝罪した人は居るのでしょうか?ちゃんと謝罪させて清算すべきではないのでしょうか?(実際に謝罪が行われていたらごめんなさい)

自衛官の大学への入学拒否問題もそうですが、この様な問題に対して政府や防衛省、あるいは人権を担当する法務省などが法的措置も含めて厳重に対処すべきです。なあなあで済ませるようなことが続けるからいつまでも差別が無くならないのです。

ちなみに私の後輩には自衛官がいます。私自身は自衛官の関係者ではないですが小学校中学校ともにいじめを受けていました。いじめの問題は決して他人事ではないと自分で思っています。その時の辛さをここで書こうとは思いません。これは完全に違う話ですし。

自衛官の待遇に関して改善されることを願って止みません。

最後に

ここまで軍事研究と自衛官の大学への入学拒否問題と雑感を書いてきましたが、まとめてみると論点が非常に多い事に気付きます。今後の展開を見守るしかないのでしょうが、私は安全保障に関しては現実主義者なので、軍事研究推進派といずれどこからともなくリプが飛んでくるのでしょうね。尚、コメント大歓迎ですのでどうぞご自由に。